「休眠に投資する個体群の増加ポテンシャルの推測」
Montero-Pau J., Gabaldón C., Carmona M.J. and Serra M., 2014, Measuring the potential for growth in populations investing in diapause, Ecol. Model., 272, 76-83.
休眠卵を持つなど、一時的に休眠する生物種で個体群増加率λを求めるときに、休眠状態の個体を死亡だとカウントすると個体群増加率λを過小評価してしまいます。その減少分を補正しようとした論文。休眠する個体の割合を使っての補正。
自分の期待していたような生活史の生物を対象にはしていなかった。
「海産ヨコエビの行列モデルを用いてバイオアッセイ結果を野外個体群応答へ外挿する」
Smit M.G., Kater B.J., Jak R.G. and Van den Heuvel-Greve M.J., 2006, Translating bioassay results to field population responses using a Leslie-matrix model for the marine amphipod Corophium volutator, Ecol. Model., 196(3), 515-526.
ほとんど読んでませんが、メモ。バイオアッセイのデータに、温度や捕食者の影響を組み込んで野外個体群の実測データを再現できるかどうか。こういう風に書くと、パラメータ次第にしか思えませんが。
「融雪剤が路側土壌の金属と有機物の輸送に与える影響」
Amrhein C., Strong, J.E. and Mosher P A., 1992, Effect of deicing salts on metal and organic matter mobilization in roadside soils, Environ. Sci. Technol., 26(4), 703-709.
土壌カラム流出試験の論文。融雪剤をまくことによって雨水排水中の塩濃度が上昇すると、土壌からCr・Cd・Cuなどの重金属がより多く流出するという結果。これは、塩化物イオンとの錯形成と陽イオン競合のためでしょう。
面白いのが、塩分を含む排水の後に純水を流すと、重金属が一気に流れ出たというもの。「塩濃度の高い排水を継続」と「純水を継続」よりも「高塩分排水→純水」で重金属流出量が最大になるみたいです。(ただ土壌中のNa含有量が多い場合は、はじめから純水を流した方が重金属流出量は多いようです。)
この現象の理由を、論文では次のように説明してます(たぶん)。①高塩分排水をずっと流している間は排水中の陽イオン (Naイオン) は土壌にとられてしまい、重金属や有機物(フミン酸)と錯体形成できない。②純水を流すと、土壌に吸着していた陽イオンが流出し、それに合わせて有機物と重金属が流れ出る。