図書館にあった「環境情報科学」という雑誌を眺めていたら、先学期めちゃくちゃお世話になった尊敬すべきSさんが話をされていた堀さんの名前があったので、読んでみました。
堀正和, 2014, 海洋の生物多様性と生態系サービス-沿岸域における生態系サービスの持続的利用と生物多様性の保全との調和に向けて , 環境情報科学, 43, 2, 33-40.
生態系サービスの一つとして、沿岸域のブルーカーボンに着目した記載がありました*1。ブルーカーボンとは「海洋で回収・貯留される炭素」のことです。対して、陸上で固定される炭素のことをグリーンカーボンと呼びます。
面白かった話を下にメモ。
- 沿岸・浅海域の炭素固定量は、海洋で固定される有機炭素の50%を占めると推測される。沿岸域の中でも、藻場で固定される炭素は大気中のCO2由来のブルーカーボンだが、干潟で固定される炭素は陸水を介して流入するグリーンカーボン由来である*2。
- 様々な栄養段階の種を搾取する漁業の提案。漁業自体は悪ではない、バランスの良い搾取を心がけよう、というもの。
ヒステリシスの話が面白そうなんだけど、いまいち理解が及ばないです。自己安定化、臨界点が底生・浮遊生態系に関して具体的にどういうことを指しているのか、よく分からない・・・。
またこのブログで、「栄養塩濃度を増加させれば沿岸域でのブルーカーボン固定量が増加し、生態系サービスが向上するのでは?」というストーリーを紹介しました。それに対して「いや、そんなに単純だろうか?」と疑問を呈されています。地域特性、その土地土地の生態系の特性を考慮すべきだという主張です(たぶん)。
Blue Carbon: The Role of Healthy Oceans in Binding Carbon (Rapid Response Assessment)
- 作者: Christian Nellemann,Emily Corcoran,Carlos M. Duarte,Luis Valdes,Cassandra DeYoung
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- 発売日: 2009/10/31
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