備忘録 a record of inner life

やったことや考えたこと・本・論文・音楽の備忘録。 特に環境科学・生態毒性に関して。

2014-01-01から1年間の記事一覧

論文「死に至るまでの時間:汚染底質の毒性の定量化指標として」

底質の希釈は困難だという話を書きました。ならば、かなり汚染された底質では、10日後の致死率とかではない、感度の低い(?)別の指標を使ってみようぜ、という論文。 DeFoe D.L. and Ankley G.T., 2003, Evaluation of time-to-effects as a basis for quant…

論文「コントロール底質を用いて汚染底質の希釈列を作成するのはOK?」

底質のような固相試料の希釈は、液相の試料の希釈より困難です*1。 汚染底質の希釈列作成の必要性:ひどく汚染された底質が複数あります。それらを採取し、底生生物を曝露させたところ、どの底質においても曝露させた全部の個体が死亡したとします。この時、…

ドイツフェスティバル@青山公園

昨日、青山公園でやっていたドイツフェスティバルに行ってきました。ビールを飲んだくらいですが。やっぱり黒ビールが好きです。 11時開始なのに、11時半ごろにはもう人がいっぱいいました。ただ夏に代々木公園であったタイフェスティバルの方が、もっと人が…

論文がrejectされたよ

あるジャーナルに投稿した論文がリジェクトされました。7月5日に投稿して、10月28日にリジェクトの通知が来ました*1。 時間かかった上にリジェクトってのは、辛いですね。自分の先輩も同じジャーナルに投稿していて、major revisionをくらって再投稿したら、…

本「理科系の作文技術」

名著という噂は知っていましたが、本当に名著でした。もっと早く読めばよかったです。 木下是雄, 1981*1, 理科系の作文技術, 中公新書 本書は、「理科系の人が仕事のために書く文章」を対象にすると書かれていますが、文系の人にも非常に有益だと思います。…

論文「底生ヨコエビに対する毒性要因を定量的PCRを用いて特定する試み」

生物の周囲の環境を調べるのではなく、生物そのものの健康診断をすることで「どのような汚染が進行しているのか」を知る手法があります。例えば、生物の遺伝子発現を調べる手法です(参考:オオミジンコを用いた研究)。 下記の論文は、汽水域に生息するヨコ…

中村修二教授のノーベル賞受賞について

下のケムステーションの記事に書かれていたことは、自分の認識とほぼ同じだった。 なぜ青色LEDがノーベル賞なのか?ー雑記編 - 化学者のつぶやき -Chem-Station- 青色LED実用化の受賞者は、中村教授でふさわしいのか? 青色LED実用化に対する中村教授の貢献…

お散歩@神田川沿い

西新宿五丁目から明大前まで、神田川沿いをお散歩した。涼しくて良い天気でした。カモがいっぱいいました。おわり。

本「科学嫌いが日本を滅ぼす」

有名で、既に知っている話が多かったです。ワトソンとクリックがウィルキンスを通じてフランクリンのX線写真を見ていた、とか韓国のES細胞論文捏造の黄禹錫とか。理系の院生以上なら多くの話は知っているでしょう。 たしか「ネイチャー」「サイエンス」に何…

論文「ユスリカの遺伝子発現のフィンガープリンティングによる有害物質のスクリーニング」

環境汚染が単一の物質によって進行することは稀です。多くの場合、複数の有害物質による複合的な汚染が同時に進みます。そのため、生物に毒性があると判明した環境試料を化学分析してみても、どの物質が毒性要因なのかすぐには分かりません。 生物の応答を見…

申請書を書く速度が途中から飛躍的に上がった!

ある研究助成の申請書を書いてました。まとまった時間が取れなかったこともあってか、1週間で1ページが埋まらないという遅さ・・・。が、とある時点から申請書を書く速度が飛躍的に上がりました。 それは、下の記事を読んだためです。 「文章力は、伝達力の…

本「ヒラノ教授の論文必勝法」

ヒラノ教授シリーズを初めて読みました。 今野浩, 2013, ヒラノ教授の論文必勝法-教科書が教えてくれない裏事情-, 中公新書ラクレ 初めて読んだのですが、このヒラノ教授シリーズが人気なのは納得でした。ファンになりました。 筆者も1章で述べている通り、…

ジャズバー@御茶ノ水

御茶ノ水にあるジャズバーに行ってきました。 オルガンのトリオでした。19:30から1時間演奏×3回。2セット目の終わりで帰った。結構楽しかったです。ドラムが複雑すぎるアップテンポの曲とかはちょっと乗り切れなかったけど。パスタもおいしかった。

論文「MSデータの解析手法の概観:メタボロミクスにおける発見のための知識」

メモ。Review論文。 4節に教師あり学習を用いたサンプルの分類;PLS(Partial Least Squares;部分最小二乗)、決定木、SVM(Support Vector Machine)など。 Boccard J., Veuthey J.L. and Rudaz S., 2010, Knowledge discovery in metabolomics: an overvie…

論文「なぜ汽水域で汚染がトラップされるのか?:塩分とDOMが吸脱着平衡に与える影響からの考察」

都市域から排出された疎水性の汚染物質(hydrophobic pollutants)は、そのまま海に流れ出さずに、汽水域の底質に蓄積していきます。Murphyら(1988;下の論文からの孫引き)によると、90%以上の懸濁態炭化水素が汽水域にとどまる場合があるそうです。 では、…

実験「cDNAの精製」

cDNA-AFLPが上手くいかないことで困ってたけど*1、逆転写後に精製を行えば成功しました。精製しなきゃそりゃ駄目でしょ的なことを言われました。ただただ恥ずかしい限り。でも、ようやくスタート地点に立てて良かったです。 *1:制限酵素による消化後、アダプ…

音楽「椎名林檎・Salyu」

割と前の曲みたいだけど(2009年発売)、良いですねこれ。 椎名林檎 - ありあまる富 - YouTube なんというか、ミドルテンポでじっくり情感を込めるように歌うのがすごい好みです。うまく言えないけど。 そんなことを書いて連想したのが、Salyu。聞いてみたら…

引っ越し

ルームメイトの引っ越し。 結構大変。自分ももう少しで引っ越すので、今の内から準備を始めておいた方がいいと思った。

本「アリの巣をめぐる冒険」

Amazonで評判が良かったので、購入。タイトルからアリの生態学に関する本だと思ってたら、「アリと共生する昆虫(好蟻性昆虫)の分類学」に関する本でした。 丸山宗利, 2012, アリの巣をめぐる冒険-未踏の調査地は足下に-, 東海大学出版会 分類学のことは良…

論文「殺菌剤曝露ヨコエビにおける特異的発現遺伝子のSSHを用いたスクリーニング」

Wu, Y.H. et al., 2014, Screening differentially expressed genes in an amphipod (Hyalella azteca) exposed to fungicide vinclozolin by suppression subtractive hybridization, J. Environ. Sci. Health, Part B, 49 (11), 856-863. SSH(Suppression…

論文「有機物質のbioavailabilityに関する総説:accessibilityとchemical activityの区別」

以前の記事で少し触れた、底質や土壌における有機物質のbioavailability(生物学的利用能)に関する総説。簡単にまとめるつもりが、長くなってしまいました。 Reichenberg F. and Mayer P., 2006, Two complementary sides of bioavailability: Accessibilit…

論文「海洋の酸性化が重金属の毒性を増加させる:多毛類での検討」

大気中のCO2濃度増加により、海洋のpHが減少、すなわち酸性化することで生態系に様々な影響が及ぶと懸念されています。下記論文は、その影響の中でも重金属のbioavailability変化に着目しています。 Campbell A.L. et al., 2014, Ocean acidification increa…

論文「地震によって地下水生態系の多様性が失われる!?」

要約ぐらいしか読んでないですが、こんな研究もあるんだーというメモ。 Earthquakes trigger the loss of groundwater biodiversity : Scientific Reports : Nature Publishing Group Earthquakes trigger the loss of groundwater biodiversity : Scientifi…

順応的管理はご都合主義?

山室先生のブログを見たら、「順応的管理(Adaptive management)」がご都合主義的に使われていることを指摘されていました。 順応的管理とは「計画における未来予測の不確実性を認め、計画を継続的なモニタリング評価と検証によって随時見直しと修正を行い…

論文「生存・死亡微細藻類による高分子PAHの除去及び物質変換」

おなじみのPAH(Polycyclic Aromatic Hydrocarbon; 多環芳香族炭化水素)に関する論文です。以前、藻類によるPAHの代謝と蓄積に関する論文を紹介しました。藻類のような下等(?)生物によってもPAHのいくらかは代謝・分解されるという話でしたが、今回は藻…

バイオアッセイと実環境中の影響予測・論文「異なる曝露履歴を持つミミズ個体群におけるメタロチオネインの発現」

化学物質が生態系に与えるリスクを評価する方法として、通常は生物応答を指標とした毒性試験(バイオアッセイ, bioassay)を行います。対象の化学物質の曝露濃度(あるいは投与量)と致死率などの生物応答との関係(=「用量反応関係, dose-response relatio…

論文「海洋の生物多様性と生態系サービス―沿岸域における生態系サービス」

図書館にあった「環境情報科学」という雑誌を眺めていたら、先学期めちゃくちゃお世話になった尊敬すべきSさんが話をされていた堀さんの名前があったので、読んでみました。 堀正和, 2014, 海洋の生物多様性と生態系サービス-沿岸域における生態系サービス…

論文「塩分・粒子径が底質へのPAH吸着に与える影響」

PAH(多環芳香族炭化水素)などの疎水性物質は、底質に蓄積しています。底質中へのPAHの隔離(sequestration)は、時間経過に伴って進行すること(aging effect)は以前紹介しました(→「時間経過によって土壌中PAHの分布はどう変化するか」)。 aging effec…

論文「キャリア溶媒の急性・慢性影響に関する総説」

疎水性物質の毒性試験では、通常アセトンやDMSOなどのキャリア溶媒を用いて試験溶液を作成します。そのキャリア溶媒の使用に関する論文(2013年, Aqua. Toxicol.)は、このブログでもまとめを書きました(→「キャリアーとしての有機溶媒の使用:実務・統計・…

学会発表 @京都 ・化学物質のリスク管理

京都大学で開催されたとある学会で発表してきました。 一つの教室に参加者全員が入るぐらいの、発表数が40程度の小さい学会でした。規模が大きくない分、いろいろな人と話せて良かったです。交流の場という、学会本来の良さを堪能できました。 懇親会の様子 …