備忘録 a record of inner life

やったことや考えたこと・本・論文・音楽の備忘録。 特に環境科学・生態毒性に関して。

2015-01-01から1年間の記事一覧

査読が返ってきた:major revision

以前ある雑誌に出してrejectをくらった論文。その後も別の雑誌からrejectをくらって、今年1月の下旬にIFの低い雑誌へ投稿してました。その査読結果が昨日帰ってきました。「major revision」でした。 査読意見を読むと、表現や構成を修正すればどうにかなり…

研究がうまくいってないときは気楽に考える

前もこのブログで書きましたが、本筋の研究がうまくいっていません。今は既存の手法を自分の対象に適用しているのですが、一つ一つの段階にミスやらエラーが見つかり、半年近くも足踏みしています。 自分の気持ちを整理するために書いてみる。 ●副業は本質的…

最近読んだ論文のメモ: 個体群増加率と捕食圧 ・ lower-level elasticity ・ クルマエビの腸内細菌叢

「D. galeata生活史感度と個体群レベルのp-ノニルフェノールの影響」 Tanaka Y. and Nakanishi J., 2001, Life history elasticity and the population‐level effect of p‐nonylphenol on Daphnia galeata, Ecol. Res., 16(1), 41-48. カブトミジンコDaphnia…

尿のにおいから「がんの診断」をする線虫

面白いニュース。線虫が尿のにおいから、がん判別をおこなうというもの。 がん診断、尿1滴で=線虫の習性利用―10年後の実用化目指す・九大など(時事通信) - Yahoo!ニュース こういう研究を生態毒性に応用できないかな。 PloseOneに載った元論文はこちら↓。…

山梨旅行:トンボ玉作り・温泉・富士急ハイランド

週末は河口湖へ旅行へ行ってきました。 12時頃に河口湖駅について、駅前のほうとう不動へ。鍋ごと出てきてお腹いっぱいに。河口湖のまわりをお散歩して、駅からタクシーで「ガラス工房自在」へ。 ガラス工房ではトンボ玉作りを体験しました。緊張したけど楽…

最近読んだ論文のメモ: 個体群と休眠 ・ 実験室と野外個体群 ・ 融雪剤と浸透土壌

「休眠に投資する個体群の増加ポテンシャルの推測」 Montero-Pau J., Gabaldón C., Carmona M.J. and Serra M., 2014, Measuring the potential for growth in populations investing in diapause, Ecol. Model., 272, 76-83. 休眠卵を持つなど、一時的に休…

同時に二つの研究テーマを持つことは精神的にも良い

論文を量産するためには「同時に二つの研究テーマを追求するよう心掛ける」べきだとヒラノ教授が書いてました(例えば「ヒラノ教授の論文必勝法」のp.108)。なんでも、一つの研究テーマだけを追求するとそのテーマが煮詰まった時に困ってしまうからだと。 …

論文「HiCEP:高感度・網羅的な遺伝子発現解析手法」

放医研が開発したHiCEP手法(High-coverage expression profiling)。HiCEPという新しい名前を冠してはいますが、手法はほぼcDNA-AFLPそのものです。 Fukumura R., Takahashi H., Saito T., Tsutsumi Y., Fujimori A., Sato S., Tatsumi K., Araki R. and Ab…

Rでの分布作成と自作分布に従う乱数生成

ピークが2つ以上ある分布をRで作成してみた。関数の合成です。そしてその自作分布に従う乱数を発生させました。 まず下のような正規分布の関数fxとgxを設定します。平均と分散はそれぞれ異なる値とします。 fx <- function(x) dnorm(x, mean=1, sd = 1)gx <-…

Rを用いた絶滅確率のモンテカルロシミュレーション:その2

Rで遊ぶのがすっかり楽しくなってきました。 その1に続いて、ファットヘッドミノーの生命表を使います(Miller and Ankley, 2004)。今度は初期個体数による絶滅確率の違いを検討してみます。その1ではw(9,2,0)の初期個体数11匹で計算していましたが、その…

論文「オオミジンコの遺伝子発現を用いた3つの異なるストレス要因のプロファイリング」

生物の遺伝子発現と環境要因の関係について。 「こういう環境要因(例:化学物質曝露とか温度などの物理的要因)によって〇〇遺伝子の発現が変動する」という遺伝子発現のプロファイリングをおこなった既存研究は数多くあります(参考:こちら・こちら)。 …

個体群行列データベースComadre & Compadre

個体群行列のデータベースなるものが公開されているみたいです。 https://compadredb.files.wordpress.com/2014/10/compadreposter-japanese.pdf さっそくのぞいてみましたが、動物用のデータベースComadreはまだ建設中のようです。 植物用のCompadreを見て…

Rを用いた個体群増加率の感度解析

行列モデルを用いた個体群レベルの生態毒性評価について(参考:こちら)。 個体群の増加率(population growth rate)に対する各生活史変量aij(vital rates)の感度(sensitivity)は下の式で求められます。 ここでw,vはそれぞれ射影行列の右側固有ベクト…

論文「ニトロフラゾン曝露に対する繊毛虫カタラーゼの用量応答反応:酵素活性とmRNA発現」

最近読んだ論文は、マーカー遺伝子の発現変動と有害物質の曝露濃度との関係を直線で近似していました。曝露濃度が最大でもLC50の1/10なので線形モデルで上手くフィットしたのでしょうが、それってどうなんだろうと思って下の論文を読んでみました。 Li J., …

論文「異なる曝露時間で自然・化学ストレスを与えたヒメミミズの遺伝子発現解析」

ヒメミミズEnchytraeus albidus を使って2,4,21日間曝露試験を行い、生存個体の遺伝子発現をマイクロアレイによって解析した論文。 曝露物質は銅とフェンメデファン(除草剤)で、土壌にスパイク。また土壌の粒径やpHが異なる曝露系も実施。21日というのは、…

今学期だけで博士課程の日本人学生が二人辞めた

自分の所属専攻の話。同じ研究室ではない。正確には前学期の終わりに一人の日本人博士学生が辞めて、今学期の終わりにまた一人辞めます。 二人とも優秀な学生だったと思います。研究能力もコミュニケーション能力もあって、後輩たちから慕われていて、週末は…

中国の研究者にメールが送れない

論文の別刷り(というかPDFファイル)が欲しくて、中国の研究者にメールしようとしたのですが、エラーメッセージが出て遅れませんでした。MAILER-DAEMONからの「送信できませんでした」メッセージが来ました。 大学のメールアドレスからも、ヤフーのアドレス…

論文「混合物と地下水がオオミジンコの転写産物に与える影響の評価」

環境中にある有害物質が1つの物質単独で存在することは非常にレアなケースです。多くは、複数の有害物質が同時に存在しています。 そのように複数の有害物質が混在する際の毒性影響は、物質が単一で存在する場合の毒性影響と異なるのでしょうか。例えば単一…

論文「湖沼底質の有機汚濁物質がDaphniaの休眠卵からの孵化に影響する」

Daphniaの乾燥卵殻 (dried ephippium) を、Greifensee湖の底質に曝露させてみた研究。15日間でのふ化率は、曝露させた系での方が高かったようです。 ちょっと意外な結果でしたが、ストレスのある環境で卵のまま死んでしまうのを防ぐために早くふ化する戦略を…

Rを用いた絶滅確率のモンテカルロシミュレーション

メモ。統計ソフトRを使って、個体群の絶滅確率を計算する関数を考え中。 n回繰り返しを行って、そのうち絶滅した回数を数えればよい。 f <- function (n) { count <- 0 for (i in 1:n) { # 1~nの値をとりながら{}内を繰り返す if (絶滅する条件) count <- co…

論文「Ni, ZnのDaphniaへの複合影響は、影響の度合いによって相乗的になったりならなかったりする」

ETCから来た新着論文のアラートにあったもの。まだ要旨しか見れないけど、面白そうだったのでメモしておきます。影響レベルの高い物質・濃度同士を組み合わせると相乗効果だが、影響の低い物質・濃度同士ならば濃度加算モデル(CA model)で説明できる、という…

論文「ゼブラフィッシュと水浄化技術:有害な都市排水の対策としてのバイオリテンション」

路面排水の生態毒性評価に関する論文。具体的な毒性低減策と結びつけた研究はあんまり見たことがなかったので、メモ。高速道路で採取した路面排水を土壌カラムに通して、ゼブラフィッシュの毒性試験をおこなったもの。 McIntyre J.K., Davis J.W., Incardona…

論文「転写産物の次世代シーケンス:非モデル動物におけるRNA単離ガイド」

前回に続きRNA固定・抽出のTips論文。 次世代シーケンサーの発展により、ショウジョウバエやマウスのようなモデル生物以外の生物種でもRNA抽出をおこなうことが増えました。 モデル生物で確立されたRNA抽出法・前処理法を、他の生物にそのまま適用しても上手…

論文「水生甲殻類RNAの簡易迅速な固定法」

RNA固定のTips論文。 Heckmann L-H et al., 2007, A simple method and rapid method for preserving RNA of aquatic invertebrates for ecotoxicogenomics, Ecotoxicol., 16, 445-447. Daphniaなどの水生生物のRNA固定をおこなうとき、水を除去するのが困難…

論文「甲殻類の慢性試験から推定した個体群増加率の感度解析」

前回の投稿に続き、個体群の話。あんまりちゃんと読んでないです。 Meyer J.S., Ingersoll C.G. and McDonald L.L., 1987, Sensitivity analysis of population growth rates estimated from cladoceran chronic toxicity tests, Environ. Toxicol. Chem., 6…

論文「個体群レベルでの生態毒性評価に関する日本語の総説まとめ」

個体群レベルでの生態毒性評価に関する日本語の総説。 田中嘉成, 中西準子, 1998, 慢性毒性の生命表評価法と生態リスク分析, 水環境学会誌, 21 (9), 589-595. 田中嘉成, 中西準子, 1998, 生態学モデルの生態リスク分析への適用 外挿法と生活史感度解析の効用…

雑感「研究の長期的視野」

よく議論される話ではあるけど、改めて考えさせられたのでメモ。 論文の質と量 - アメリカポスドクの歩き方 論文の質と量 - アメリカポスドクの歩き方 すごいざっくり書くと、日本の研究者には、質の低い論文を量産することしかできていない人が多いという話…

映画「マレフィセント」「マンマ・ミーア」

どちらもDVDで見たけど、面白かった。 マレフィセントはツンデレおばさんで、マンマ・ミーアのお母さんはアバズレおばさんだった。 ミュージカルってあまり馴染みがなかったんですが、見てみたら結構面白い。急に歌いだすとかの形式に抵抗さえなくなれば、楽…

日記「ソムタム作った」

大学で、タイからの留学生達がソムタムを作ってました。あるタイ人のお誕生日パーティーでした。鷹の爪がばんばん投げ込まれていくので、衝撃的な辛さでした。 うすのようなものに野菜、パパイヤ、鷹の爪、ニンニク、レモン汁などを入れて混ぜ混ぜします*1そ…

本「アクロイド殺し」

正月帰省の新幹線で読んだ本。犯人が誰なのか予め知っていて読みました。それでも十分楽しめました。 アガサクリスティー, アクロイド殺し, 羽田詩津子 訳, 早川書房 イギリスの田舎村の富豪アクロイドが殺された事件。仕事を引退して村へ越してきていたエル…