備忘録 a record of inner life

やったことや考えたこと・本・論文・音楽の備忘録。 特に環境科学・生態毒性に関して。

分子生物学

論文メモ: ヨコエビ Hyalella aztecaのゲノム

「底質毒性と進化毒性学のモデル生物:Hyalella aztecaのトキシコゲノム」 Poynton HC, Hasenbein S, Benoit JB, Sepulveda MS, Poelchau MF, Hughes DST, Murali SC, Chen S, Glastad KM, Goodisman MAD, Werren J, Vineis JH, Bowen JL, Friedrich M, Jone…

「ヒトゲノムを解読した男:クレイグベンター自伝」感想

ひと月くらい前に読了。 バイタリティに富んだ人間という一言に尽きます。 彼が海軍衛生兵としてベトナムへ従軍していた時の話。腹部に傷を負った二人の男が同時期に病院に運ばれてきた。ひとりは生きて当然だと思われたが、すぐに息を引き取った。もうひと…

論文のメモ: omics technologyとAOP

AOP(Adverse Outcome Pathways)の構築に、網羅的な生物応答の解析技術(omics)を用いて何ができるかというお話し。omicsの中でも特にtranscriptomicsについて。 「化学物質リスク評価へAOPを適用するうえでomicsの果たす役割」 Brockmeier EK, Hodges G, …

論文のメモ: トンネル洗浄水による遺伝子発現変動

「交通関係の汚染に曝露されたブラウントラウトの肝臓の遺伝子発現プロファイル」 Meland S, Farmen E, Heier LS, Rosseland BO, Salbu B, Song Y, Tollefsen KE, 2011, Hepatic gene expression profile in brown trout (Salmo trutta) exposed to traffic …

論文のメモ: 生態毒性研究へのWGCNAの適用

重み付き遺伝子共発現ネットワーク解析(WGCNA; weighted gene co-expression network analysis)のはなし。 「遺伝子共発現ネットワークによるDaphniaの繁殖影響予測」 Asselman J, Pfrender ME, Lopez JA, Shaw JR, De Schamphelaere KAC, 2017, Gene co-e…

論文のメモ: Zebrafishのマイクロアレイメタ解析

「化学物質曝露後のゼブラフィッシュ胚のトランスクリプトーム:メタ解析」 Schüttler A, Reiche K, Altenburger R, Busch W. 2017. The transcriptome of the zebrafish embryo after chemical exposure: a meta-analysis. Toxicol Sci, 157 (2), 291-304. …

論文のメモ: メタゲノム情報の保存庫としての貝殻

気晴らしで読んだ論文。 「メタゲノムアーカイブとしての貝殻」 Coutellec MA. 2017. Mollusc shells as metagenomic archives: The true treasure is the chest itself. Mol Ecol Resources 17(5): 854-857. Der Sarkissianら (2017) の解説記事。貝殻のDNA…

TSAに登録する際のmultifastaファイルの編集

NGSで読んだcDNAをデータベースに登録するとき、生配列はSRA(Sequence Read Archive)だけど、アセンブリ配列はTSA(Transcriptome Shutgun Assembly)という区分だそうな。 提出するfastaファイルは以下の形式に則っていないとダメだそうです。 >CLN01 <--…

論文のメモ: 遺伝子ネットワーク推定とAOP

マイクロアレイやRNA-seqのデータから遺伝子間の関係(ネットワーク)を推定し、有害物質によって引き起こされる悪影響adverse outcomesのメカニズムを明らかにしようという研究について。 「システム生物学アプローチによってNarcosisのCa依存メカニズムを…

論文のメモ: 環境毒性分野での遺伝子発現データと機械学習

マイクロアレイやRNA-seqの遺伝子発現データから、機械学習を使って情報を引き出す話。例えば、発がん性物質に曝露したデータと曝露してないデータを与えて、発がん性の有無を識別できる遺伝子(バイオマーカー)を探索する研究などがあるかと思います。昔こ…

リアルタイムPCRで発現量比の差を解析する統計的手法

リアルタイムPCRで発現解析時の統計手法 遺伝子Aの発現量が条件αと条件βで変わらないかどうか、リアルタイムPCRで調べたい。そんなときの話です。 複数のハウスキーピング遺伝子のCt値(あるいはCp値)と遺伝子AのCt値との差(=ΔCt)を条件α・βごとに求めて…

論文のメモ: 28S rRNAのhidden breakについて

一部の生物種は、28S rRNAの真ん中あたりに切れ目が入っていることをこの記事に書きました。その切れ目はhidden breakと呼ばれ、28S rRNAが分裂するときに一部の塩基が消失することはgap deletionと呼ばれているみたいです。 今回は、hidden breakについて少…

論文のメモ: RT-PCRを始めるにあたって読みたい文献

リアルタイムPCRを用いた遺伝子発現解析の原理、実験手法やデータ解析法について。 いちばん分かりやすく丁寧なのは、タカラやサーモの日本語解説でしょう。特にサーモの「リアルタイムPCRハンドブック」は最高。それらを読んだ後に、将来論文に引用すること…

論文のメモ: RINは 全ての生物種のRNA分解指標にはできない

動物組織から抽出したRNAの分解度合は、電気泳動によって評価するのが普通です。ヒトなどの場合は、バイオアナライザーという装置で泳動して RIN (RNA Integrity Number; Schroeder et al., 2006) なる指標で分解度を評価します。RINの考え方は、RNAの中で大…

論文のメモ: 甲殻類の脱皮と金属曝露

「オオミジンコのecotoxicogenomicsによって金属毒性のメカニズムが推察できる」 Poynton H.C., Varshavsky J.R., Chang B., Cavigiolio G., Chan S., Holman P.S., Loguinov A.V., Bauer D.J., Komachi K., Theil E.C., Perkins E.J., Hughes O., and Vulpe…

論文のメモ: NGSでミトコンドリアDNAの全長解析

D2のWさん関係で、環境DNAに最近興味あり。 「古腹足類のミトコンドリアゲノム全長配列」 Williams S.T., Foster P.G., and Littlewood D.T.J., 2014, The complete mitochondrial genome of a turbinid vetigastropod from MiSeq Illumina sequencing of ge…

非モデル生物のGO enrichment analysisをGOseqでおこなう

RパッケージのGOseq。日本語でも、GOseqの使い方の説明はネット上に散見されます。ただ、多くはヒトなどゲノム情報が手に入る生物種を対象にしていて、いわゆる非モデル生物の場合の説明は見かけません。マニュアルを見ても、コードの例までは書いてません。…

論文のメモ: 複合影響とtoxicogenomics

「トキシコゲノミクスから観た複合影響」 Altenburger R., Scholz S., Schmitt-Jansen M., Busch W., and Escher B.I., 2012, Mixture toxicity revisited from a toxicogenomic perspective, Environ. Sci. Technol., 46 (5), 2508-2522. 総説。勉強会のた…

論文のメモ: 環境DNAを用いた遺伝的多様性の解析

「環境DNAから推察されるジンベエザメ集団の特性」 Sigsgaard E.E., Nielsen I.B., Bach S.S., Lorenzen E.D., Robinson D.P., Knudsen S.W., Pedersen M.W., Jaidah M.A., Orlando L., Willerslev E., Møller P.R., and Thomsen P.F., 2016, Population cha…

論文のメモ: de novo RNA-seqとマーカー遺伝子探索

国環研で使わせてもらった次世代シーケンサー。N先生のご好意により無償で使わせていただけました。N先生はすごい太っ腹というか、商売っ気がない?感じで、「お試しだから別に良いよ」と言ってましたが、やはりN先生にとってもプラスになる形で成果を出して…

DDBJ pipelineの高次解析

前回の続き。blastxに時間かかり過ぎのため、現在linux PCを他の用途に使えません。 「次世代シークエンス解析スタンダード」(羊土社)という本を読んでたら、遺伝研のスパコンを使って解析できる、という話が。「うちのlinuxと遺伝研のスパコンとの2台使い…

blast+の計算時間

12/6(火)からlinuxのコマンドライン上でlocal blastxをおこなってますが、まだ終わらない…。こんな感じのコマンドを入力してから、もうじき7日経ちます。 blastx -query Trinity.fasta -db nr -max_target_seqs 2 -outfmt 5 -evalue 1e-05 -num_threads 6 -o…

論文のメモ: 廃水に曝露させたミジンコの発現変動遺伝子

「ゴム廃水曝露ミジンコにおける発現変動遺伝子の定量化」 Jo H.J. and Jung J., 2008, Quantification of differentially expressed genes in Daphnia magna exposed to rubber wastewater, Chemosphere, 73 (3), 261-266. 卒論生のT君の参考にできそう(う…

RNA-seqにおけるrRNAの扱い

どういう働きの遺伝子がどれくらい発現しているか、見たいのはmRNA。しかしRNAの大部分はrRNAです。シーケンス前にoliog-dTビーズやらで取り除く操作をおこなっても、全てのrRNAが除去できるわけではありません。 なのでmRNAだけが解析対象なら、dry解析時に…

論文のメモ: de novo RNA-seqはどれくらいデータがあれば論文になるか

de novo RNA-seqデータの解析中。初めてのことだらけで、いろいろと手探りです。 まずはお試しでシーケンスしただけなので、そのデータで論文が書けるとは思ってませんが、じゃあ一体どれだけの(量・質の)データがあれば書けるのか、いまいち分野の常識が…

論文のメモ: 甲殻類と細菌の関係

気晴らしで読んでみた論文。自分自身の研究との関連は特にないです。 「海産ヨコエビの新しい体表面共生細菌」 Gillan D.C. and Dubilier N., 2004, Novel epibiotic Thiothrix bacterium on a marine amphipod, Applied Environ. Microbiol., 70 (6), 3772-…

論文のメモ: 魚類からの環境DNAの排出速度

「環境DNAの排出速度」 Maruyama A., Nakamura K., Yamanaka H., Kondoh M., and Minamoto T., 2014, The release rate of environmental DNA from juvenile and adult fish, PloS one, 9 (12), e114639. 研究室で紹介された論文。自分は環境DNA(eDNA)につ…

論文のメモ: NGS解析を想定したRNAの固定・抽出方法

「非モデル生物におけるRNA単離ガイド」 Gayral P., Weinert L., Chiari Y., Tsagkogeorga G., Ballenghien M., and Galtier N., 2011, Next‐generation sequencing of transcriptomes: a guide to RNA isolation in nonmodel animals, Mol. Ecol. Resour., …

論文のメモ: NGSのコスト

NGSでのシーケンス費用について。 論文等で報告されているものを整理してみました。IlluminaのHiseqを使ってRNA-seqしたものを対象にしてます。 1US$は110円として計算しました。外注委託の見積もり価格はもっと高くなってるけどなぜ?例えばここでは4Gbで14…

論文のメモ: DaphniaからのDNA抽出法など

「DaphniaからのDNA抽出法」 Athanasio C.G., Chipman J.K., Viant M.R. and Mirbahai L., 2016, Optimisation of DNA extraction from the crustacean Daphnia, Peer J, 4, e2004. アラートで知った論文。Peer Jの論文ってどういうものなんだろうという興味…